2014年9月30日火曜日

気を吐くトルコ家電 続編

トルコでは知らない人がいない大手電機メーカー、VESTELの続編。
日経エレクトロニクス(2014/06/23号)による、同社CEOのTuran Erdogan氏とのインタビュー記事が手に入ったので、以下、抜粋・編成したものを紹介したい。写真も借用する。

Q: Vestel Groupについて
1984年の創業で、今年で30周年を迎える。トルコ国内外に約30社の参加企業を抱える。中核企業は液晶テレビなどの民生機器を手掛けるVestel Electronics。冷蔵庫や洗濯機などはVestel White Goodsが担当。連結売上高は50億米ドル、輸出額は30億米ドル。輸出先は最近アフリカのジンバブエ、アジアのブータン、ミャンマー、南太平洋のミクロネシアが加わり、145カ国になった。

Q: 主力のテレビ事業について
テレビは特に重要な事業。Vestel Groupは欧州で最も大きなテレビの製造工場を保有。その総床面積は100万(平方メートル)を誇る。この工場を起点に、欧州を中心に液晶テレビを供給している。欧州の液晶テレビ市場での占有率は、サムスン電子の32.1%に次ぐ20.3%で第2位を獲得。欧州で20%を超えるシェアを獲得できた最大の理由は、OEM事業である。海外では「VESTEL」の名前でマーケティングはしない。欧州メーカーと日本メーカーの欧州向け液晶テレビをOEMODMで製造している。日本のテレビメーカーとは、ある1社を除いて取引がある。

Q: テレビ以外の事業について
ビジネスの対象とする領域は幅広い。冷蔵庫や洗濯機は省エネ性能が評価されているし、LED照明機器の製造も始めた。2014年秋にはタブレット端末も投入したい。業務用のディスプレーやデジタルサイネージは重要な事業の1つ。最近では、スマートホームやスマートグリッドの技術開発にも注力している。トルコはエネルギー産出国ではないので、エネルギー効率を高める技術の研究開発を進めている。


                   写真1:「グランドバザール」に吊るされたデジタルサイネージはVestel社
                   写真2:イスタンブール市内の直営店の様子
                   写真3:エアコンの室外機には「VESTEL」のロゴが

Q: 今後、VESTELの名前を前面に出していくのか

意識しているのは他ブランドの活用だ。それぞれの地域で力のあるブランドやメーカーを買収し、傘下に収める戦略を採っている。現地でVESTELブランドの認知度を高めるには金も時間も掛かってしまう。既に市場で確立されているブランドを取り込んだ方が、素早く攻められる。2008年には欧州とロシア地域で人気の白物家電の「Vestfrost」を買収済みだ。2011年にも白物家電の「Atlantic」ブランドをイギリスで展開し始めた。もちろんブランドを買ってきて、製品にロゴを貼り付けるだけでは消費者の心はつかめない。ODMOEM事業で培った技術力や素早い開発スピードなどの強みを融合させて、さらに存在感を高めていきたい。

以上である。トルコ電機大手のしたたかでアグレッシブな戦略が垣間みられる。

【トルコ進出、トルコ進出サポート、トルコ進出支援、トルコ貿易投資の専用サイトはこちらから

2014年9月29日月曜日

気を吐くトルコ家電

VESTEL、トルコでは知らない人がいない大手電機メーカー。直営店も多い。トルコ国内だけでなく、欧州市場でもその存在感を増している。中東や中央アジアなどへの輸出も活発で、FTA/自由貿易協定を活かした展開をしている。

日経新聞、日経エレクトロニクスで、「知られざるトルコ家電の実力」と題した記事が少し前に取りあげられていた。前の記事を引っ張りだしてその概略を紹介することとする。

VESTEL社は日本メーカーのOEM供給もやっている。VESTELCEOトゥーラン・エルドアン氏によると、日本のテレビメーカー大手6社が同社の顧客らしい。OEMを含む欧州のテレビのシェアは約2割で韓国サムスン電子に次いで第2位という。

トルコの冷蔵庫、洗濯機など白物家電の主要6種の生産台数は昨年、2190万台と過去最高を記録。VESTEL社の売上も40億ドル(4000億円)を超え、8割が他社へのOEM 供給が占め、その内の約7割は欧州とロシア向けである。

YAHOO検索によるVESTEL製品の画像とCEOのエルドアン氏






トルコ家電が強い理由の背景には、先ずは「地の利の良さ」が挙げられる。
中国から欧州まで輸出に5週間はかかるが、トルコからは1週間前後で届いてしまう。それに伴う物流コストも3分の1で済んでしまう。EUとの関税同盟により、関税はゼロ。中国等に比べ人件費は高いが、総合的な競争力は高いというわけだ。

次に「巧みなマーケティング」。VESTELはドイツの「テレフンケン」ブランドのスペイン、イタリア、ポルトガルでの使用権を有する。名門ブランドを活用することで、ブランド育成にかかる時間とお金を省いている。


現在、トルコは中東やアフリカ、中央アジアを中心に16カ国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる。VESTELSは欧州・ロシア以外の輸出も増やしていくらしく、日本ともEPA/FTAの交渉が進む中、今後のVESTELの動きに引き続き注目したい。

                                【トルコ進出、トルコ進出サポート、トルコ進出支援、トルコ貿易投資の専用サイトはこちらから

2014年9月28日日曜日

トルコ進出、トルコとの貿易投資を考える上での三つの数字

30」「21億」「2023」。
トルコ進出、トルコとの貿易投資を考える上でのカギを握る3つの数字。
ここ3年程前から、世界中の企業がトルコ進出を加速している。日本企業も追随し、イスタンブール地域だけでも130社以上の日系企業が進出している。

1つめの「30」だが、このコーナーでも何度もお伝えしているので皆さんは直ぐにお分かりかと思う。トルコ国民の平均年齢、30.4歳を指す。日本の43.8歳、EU37.7歳に比べて、若者人口の層が厚い。トルコは中長期に渡って消費購買力を有することになる。30歳以下は3800万以上いる計算になり、ポーランドや韓国の総人口に匹敵する数字だ。労働可能人口(1564歳)は67.4%を占め、2040年まで人口が増え続けるとの予測。現在、毎年100万人のペースで増えている。

            Sources: Turkish Statistical Institute(トルコ統計局)


2つ目の「21」億。トルコを起点に戦略的な展開が可能な周辺地域の人口を足した数字。ヨーロッパ地域の67000万人に加え、今後更なる成長が見込める中東、北アフリカもトルコと隣接する。特に中央アジアや中東とは歴史的・宗教的な繫がりも深く、トルコの大いなる優位性としてカウントできる。Middle East(中東)North Africa(北アフリカ)の頭文字をとって、MENA(ミーナ)と呼ばれているが、ヨーロッパとほぼ同じ人口を持っている。

                                    Sources: Nikkei Electronics より

3つ目の「2023」。トルコ建国100周年を向かえるのが2023年。それに伴い、トルコ政府が成長戦略「Vision 2023」を発表した。意欲的ではあるが大胆過ぎる計画と一部では揶揄されているが、挑戦するトルコの将来に投資する世界の企業が後を絶たない。この数字はトルコ国内でも強く意識され、これまでトルコ経済を牽引してきたエルドアン氏への期待もあるからだ。

    Sources: Nikkei Electronics より


トルコは2023年までに経済大国トップ10を目指し今後9年間突き進むことになる。地下鉄や高速道路の延伸、ショッピングモールや住宅の建設、橋梁や住宅、高層ビルの耐震対応、発電プラント整備など大型インフラプロジェクト計画が次から次とひっきりなしである。MENA地域とも電車で結ぶ計画だ。ゆえに、日本企業にとってもトルコ進出、トルコへの投資のチャンスが見えてくる。


          【トルコ進出、トルコ進出サポート、トルコ進出支援、トルコ貿易投資の専用サイトはこちらから

2014年9月27日土曜日

「地図に残る仕事」

マルマライの海底鉄道工事を実施したのは大成建設。たまたま、同社の関係先の方の情報に触れる機会があった。

「地図に残る仕事」、これは大成建設のキャッチコピーだ。
同社ホームページのトップメッセージの中にも、山内隆司代表取締役社長のことばとして、・・・自分の可能性を信じ、新しいものに挑戦する熱い想いを持った皆さん、私たちと共に「地図に残る仕事。」を手掛け、次の新しい時代を切り拓いていきましょう・・とある。

”地図に残る仕事”って、結構スゴイ!、何年か前の日経の全国版全面 カラー広告より。


大成建設は「トルコ150年の悲願」であったボスポラス海峡の海底トンネルの工事を担当した。ヨーロッパとアジアを繋ぐ海底鉄道「マルマライ」が、共和国建国90周年を迎えた1029日に開業、記念式典が盛大に行われたことはこのコーナーでも昨年に紹介済みだ。安倍首相をはじめ、ルーマニア首相、ソマリア大統領他、8か国から9名の大臣が来賓として、またトルコ国会議員、官僚などが参加する一大式典となった。今ではすっかり多くの市民の足になっている。

Sirkeci駅には「地図に残る仕事」と日本語の看板がある。現在、トルコはどこへ行っても建設中の建物に出くわす。壊しているのか建てているのか、見分けがつかないぐらいの建設ラッシュと言える。もちろん、日本からだけでなく中東や欧州等世界中から建築・建設関係者がトルコに押し寄せている。特に、イスタンブールの街を歩いていると様々な人種とすれ違う。

次の写真は、世界最深記録となる水深60mの海底に函体を設置したときのものと函体を沈める作業船の写真。トンネルの部分工事を指揮したのが大成建設の小山文男氏で下の写真の一番右側(写真は同氏によるもの)。





153年にわたるユメが実現」と表示された駅構内のモニターと運行中の車両。




          【トルコ進出、トルコ進出サポート、トルコ進出支援、トルコ貿易投資の専用サイトはこちらから