2015年2月5日木曜日

トルコ中小企業(KOBI)への期待感



2023年の建国100周年に向けた壮大な国家ビジョン(過去記事参照)を実現していくにあたって、現在トルコでは中小企業(KOBI)に大きな期待が寄せられています。


先日、政府による中小企業支援の拡大が首相から発表され、131日付けで各紙が大きく報じました。



中小企業・起業賞の授与式でアフメット・ダウトオール首相より、「中小企業に5つの朗報がある」と発表されました。

5つの朗報』の内容は以下の通り。

 ①  法人化・ブランド化支援プログラムの開始
 ②  業務提携支援プログラムの開始
 ③  研究開発イノベーション支援拡大
 ④  起業支援拡大
 ⑤  中小企業・起業賞で最終選考に残った40社に国外ビジネスツアー
 
スピーチの中でダウトオール首相は中小企業について、
「中小企業はトルコ経済の要である。経済だけではない、社会の要でもある。」
「経済的安定の指標は中小企業だ。政治的安定と中小企業の間には実質的な関係がある。」
と話しています。
また、情報産業技術省フィクリ・ウシュック大臣によると、
2006年に180.3万件だった中小企業の数は、2013年末には116.2万増の296.5万に達した。」
「現在トルコにおける企業の99.85%が中小企業であり、雇用の75.8%と輸出の59.2%が中小企業によってもたらされている。」
「企業が規模拡大、輸出増大、技術水準向上させるにつれ資本も増やしている。これは非常に重要な指標であり、情報産業技術省としても支援をこの点に集中させた。」
とのことです。
今後のトルコ経済は、中小企業の発展にかかっている、ということですね。
 
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ところで、トルコの大手銀行『ヤプ・クレディ銀行』もまた、中小企業支援キャンペーンを打ち出しており、何とそのCMには日本人の大食い世界チャンピオン小林尊さんが出演しています。
 
なぜでしょう?
 
それは、彼の世界的愛称が“KOBI KOBAYASHI”だからです。
そう、トルコ語の「中小企業」すなわちKOBIとかけたダジャレです。
 
CMは、あるレストランを営む父親とその息子の会話から始まります。
「いいかい、今日は当店のドゥリュム(トルコのラップサンド)・デーだ。“ドゥリュム食べ放題”を始めるぞ!」
威勢よく言い放つ父親に対し、心配そうな息子。そこに通りがかった小林さんが
「食べ放題?」
と喜んで店内へ。
「大丈夫大丈夫、食べ放題って言っても所詮23本で腹いっぱいになるから」と自信たっぷりの店主ですが、みるみる山ほど皿を積み上げていく小林さんに茫然。
そこへ息子が父親にタブレットを見せながら、
「あの人、世界大食いチャンピオンのコビー・コバヤシだよ!!」と告げる。
「大食いチャンピオンのコビー!?」
と店主が驚いたところで、小林さんは着ていた上着を脱ぎ、大きく『KOBI』と書かれたタンクトップを顕わにして俄然やる気満々。
KOBIKOBIでも、こんなことするなんて…」と泣きそうになる店主。
「お父さん、どうしよう」と不安げな息子に、店主はひらめきます。
「大丈夫、どうすればいいか父さんは分かっているよ。」
そう言って連れ立って店を出た親子が向かった先はヤプ・クレディ銀行。そこから中小企業向け融資の充実を謳う宣伝文句が連なります。
 ※当CMはヤプ・クレディ銀行のウェブサイトから視聴できます。
 
トルコの政治・経済の要となる中小企業KOBIと日本には、既にこんな結びつきが生まれていたのですね。

中小企業への期待感が膨らむ今、トルコとのビジネスチャンスはますます広がっていくことと思われます。トルコへの貿易投資に関心のある方は、どうぞ弊社までお問い合わせください。


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*参考*131日付Hürriyetの全訳は以下の通りです。
『中小企業に5つの朗報!』
トルコで起業を増進するため、政府は中小企業に向けた新たな支援政策を打ち出した。「中小企業に5つの朗報を伝えよう」と話したアフメット・ダウトオール首相は、「ブランド化、技術提携、研究開発の支援が増える」と話した。
アフメット・ダウトオール首相が発表した支援プログラムによると、ブランド化に15万リラ、技術提携を結ぶ企業に30万リラを、返済不要(助成金)で計150万リラ支援する。また、研究開発の業務を行う企業が現在受けている補助も50%引き上げるとした。
支援の詳細について、中小企業・起業賞授与式にて説明したダウトオール首相は、次のように話した。
「中小企業はトルコ経済の要である。経済だけではない、社会の要でもある。トルコで所得分配における改善があるとしたら、社会問題がなくなるとしたら、それは中小企業のおかげである。彼らが創出する雇用により、経済的発展も社会的連帯も生まれる。彼らが踏み出す一歩は社会の平和を支持する一歩をもたらすだろう。中小企業は同時にG-20議長国の主要なテーマともなっている。」
「中小企業に5つの朗報だ。第一に、法人化・ブランド化支援プログラムを開始する。このプログラムでは5000万リラの予算で一企業につき15万リラの支援を行う。この5000万リラの予算を1億リラに引き上げるよう大臣に指示を出した。第二は、業務提携支援プログラムだ。3企業が技術提携で集まるなら、内30万リラは返済不要、120万リラは要返済で、合計150万リラの補助が与えられる。第三に、研究開発イノベーション支援において50%の引き上げを行う。第四は起業支援プログラムだ。女性と障がい者、労災対象者及びその近親者も恩恵を受けることができる。ここでも、もともと10%だったところを20%に引き上げる形で改定を行った。第五となる最後の朗報として、今日発表された最終選考に残った40企業に、KOSGEB(中小企業開発機構)が一切を賄う国外ビジネス旅行の賞を与える。起業と競争の間には直接の関係がある。起業が増えれば競争もその範囲で増えるのだ。」
中小企業は経済的安定の指標である
経済的安定の重要性を指摘するダウトオール首相は、「2008年の危機以降、深刻な経済の揺れに直面しながらも、政治的、経済的リスクと向き合いながらも、トルコは12年間で政治的安定を守り、かつ必要に応じて徹底的な改革を実行することに躊躇しなかった。このことを我が国の中小企業はよく分かっている。経済的安定の指標は中小企業だ。政治的安定と中小企業の間にはそれほどまでに実質的な関係があるため、あなた方が強ければ我々は雇用問題を解決することができる。首都アンカラに政治的安定があれば、あなた方も強くなるでしょう。」と話した。
300万近くに到達
情報産業技術大臣フィクリ・ウシュック氏は、「企業家情報システム」によると、2006年に180.3万件だった中小企業の数が、2013年末には116.2万増の296.5万に達したことを伝えた。ウシュック氏は、現在トルコにおける起業の99.85%が中小企業であり、雇用の75.8%と輸出の59.2%が中小企業によってもたらされていると話した。企業が規模拡大、輸出増大、技術水準向上させるにつれ資本も増やしていることを指摘するウシュック氏は、これは非常に重要な指標であること、省として支援をこの点に集中させたことを強調した。
 
 

 
 

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