2015年3月30日月曜日

The 30th JITAC European Textile Fair - 2016 SPRING SUMMER

3月24-26日、東京国際フォーラムにて、JITAC(The Japan Imported Textiles Agency Council/一般社団法人 日本輸入繊維代理店協会)主催のヨーロピアン・テキスタイル・フェアーが開催されました。

 
 


今回が第30回目となる同展示会には、93社(団体)が出展しました。(※サプライヤー数は534社)

基本的にはヨーロッパの業者限定になりますが、エージェントが付いている条件でインドからも数社参加しています。
出展者の5割はイタリアの業者となっており、フランス、スペイン、スイス、ドイツなどがそれに続きます。

トルコからはITHIB(イスタンブル繊維・アパレル輸出協会)主導で第29回から参加しており、今回は新規出展で独自ブースで展開する4社と、既にエージェントが付いていて各エージェントのブースで展開する7社を加えて、合計11社のサプライヤーが参加しました。

トルコは綿花の生産が非常に盛んであり、主な生産地としてはエーゲ地方や南東アナトリアが有名です。近年、中国に代わるオルタナティブとして、トルコの高品質な繊維・テキスタイルに注目が集まっています。
日本繊維輸入組合による2014年の報告書によれば、「30 年間でトルコの繊維製品は、低い価値の商品から高付加価値商品へ転化することにより、急速な発展を遂げている」とのことで、現在トルコ全体の輸出の19%を占めるまでとなりました。

今回の新規出展企業の内、ブース担当者に話を伺うことができた3社をご紹介します。

BAHARIYE MENSUCAT A.S.(バハリイェ・テキスタイル)

布帛専門に生産しており、主に男性用スーツの素材を扱っています。日本にエージェントがおり、大手繊維専門商社との取引が実現しています。100%ウール混素材、受注生産を行っています。生産量は年間約500万mで、日本への輸出は大体30~40万m。主にドイツ、フランス向けに輸出を行っています。
イスタンブールの空港傍に本社兼工場を構えているため、海外とのやり取りが非常にスムーズに行えるメリットがあります。また、スイス育ちのマーケティング部長、ドイツ育ちのエリア部長など、西洋的なメンタリティを持つスタッフがいることが、海外戦略上大変重要なアドバンテージであると自負しています。

ELYAF TEKSTIL(エルヤフ・テキスタイル)


ビスコース、綿、合成繊維、シャツ地などを生産。生産量は年間約800万m。注文に対して迅速な対応が評価されています。織・染め・仕上げの全ての工程を自社で行っているため、細かい注文に対応することが可能です。
毎回独自のコレクションを新規に開発、展開しています。主にヨーロッパに向けて輸出をしており、第一位はスペイン(生地、アパレル)。他、フランス(生地・アパレル)、イタリア(生地)などにも輸出しています。
専属デザイナーも抱えており、『MASS』という自社オリジナルのアパレル・ブランドも展開しています。所在地ブルサ。

●KIPAS(キパシュ)

従業員8000人を抱えるホールディングスで、テキスタイル、アパレルのみならず、セメント、製紙、エネルギーなど様々な分野で事業を展開しています。
テキスタイル部門では、デニム・綿・綿混が全体の生産の8割を占めます。100%自社生産となっており、紡績・織・染め・仕上げ・縫製までの工程を全てハウスプロダクションで行っているため、各工程での細かな注文に対応可能です。現在、英国やドイツなどに生地販売を行っています。ロンドン生まれのデニムブランドLee Cooperのトルコにおける小売り、マーケティング、製造権を取得し、現在トルコ国内の数々のデパートに出店、他13店舗の直営店も構えています。本社はイスタンブール、工場はトルコ南東部カフラマンマラシュにあります。


次回のヨーロピアン・テキスタイル・フェアーは10月6~8日に予定されています。
トルコもさらに規模を拡大して出展するかと思われます。ぜひトルコの高品質なテキスタイルに直接触れてみてはいかがでしょうか。


2015年3月27日金曜日

トルコ産青果物の輸入展開



201535日付け食品産業新聞に、『トルコ産グレープフルーツ~初の専用船による対日輸出』というタイトルの記事が出ていました。以下転載します。

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トルコ産柑橘類輸出促進事務局は、トルコ産グレープフルーツが、今回初めて、専用船により日本向けに輸出される―と発表した。


対日輸出企業は、地中海柑橘類輸出組合に所属するトルコ有数の柑橘類輸出会社、オズレルタルム食品会社(Ozler Tarim)。柑橘類の他、サクランボ、リンゴ、ザクロ等を栽培し、新品種開発施設を有する企業。


同社によると、「当社は、解禁された5年前より対日輸出している唯一のトルコ企業。この間コールドトリートメント、パッケージ、品質、輸送機関等が課題となり、日本への専用船での輸出により、期間短縮(約50日だった輸送機関を3週間前後に)することで、多くの課題を解決しようと考えた。産地でも、土壌改良、パッキングの変更、コールドトリートメント時のシステム等を検討してきた。この成果を日本のバイヤーに確認頂いた結果、ユニオンが専用船をチャーターし、初めて直接日本向けに出荷することになった。13年に解禁されたレモンも積み込まれ、日本初の輸入となる。品質、(糖度、酸)、大きさ、形、表面のきれいさ、価格等最適の状態で輸出できたので日本市場の役に立って欲しい」としている。

専用船は、トルコ・メルシン港を214日に出発、関西37日、関東10日入港予定。グレープフルーツ15万c/s、レモン15000/s。グレープフルーツの輸入は米国産が約70%を占めるが、今期の米国産の品質問題、価格の高騰が背景にあり、今回トルコ産が評価されれば、来期以降期待が持てる。

輸入元は、ユニオン(小寺一史営業第一部長、☎078-392-4930
 
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トルコ地中海沿岸の生産物として輸出強化品目となっている柑橘類。
 
日本では、チチュウカイミバエの寄生植物であるという理由から、トルコからの柑橘類の生果実は原則として輸入禁止対象となっていますが、平成22年に農林水産省告示第1317号において「農林水産大臣が定める基準」としてチチュウカイミバエを確実に殺虫できると判断できる一定の消毒措置等(低温処理条件)が定められ、この基準に適合するものに限り輸入禁止の対象外となりました。
 
 
トルコ経財省で設立された『極東向け青果輸出開発委員会』の尽力により、トルコ産グレープフルーツは2010年、レモンは2013年に日本への輸入が解禁されました。
 
レモンは今回が初輸入となりますが、グレープフルーツに関してはこれまでに日本への出荷は実現しております。しかし、シンガポールなど経由することで温度管理が徹底されないなどの事情により、商品の品質が保証されないなどの問題が発生していました。
 
今回の専用船による出荷が実現したことにより、今後より安定した品質が保証されることとなります。
 
 
2013年のデータによると、現在日本のグレープフルーツの輸入先としては米国がダントツでトップ、次いで南アフリカ、イスラエル、4位にトルコが食い込んでいますが、レモンに関しては現状米国とチリが輸入量のほとんどを占めています。
 
収穫年により生産量や品質に差が出るリスクがある農産物に関しては、供給元を分散し安定供給を維持する必要があり、そういった中で品質としても一定条件を満たし価格も米国産より2割程度安いとされるトルコ産レモンに、今後の期待が寄せられています。
 
極東向け青果輸出開発委員会委員長ケマル・カチマズ氏が2014年2月19日付け記事でIHA(イフラス通信社)の記者に語ったところによると、
 
「日本は品目ごとに輸入許可を出すため、それに准ずる形で進めてきた。最初はグレープフルーツ、二つ目にレモンに許可が下り、三つ目の品目としてチェリーを打ち出している。チェリーに関しても既に交渉は最終段階に入っており、間もなく許可が出るだろう。」
 
としています。
 
さらに別の青果物に関しても取り組みを継続していく、とも語っており、また日本に留まらず、中国など別の極東地域への輸出に対しても意欲を見せています。
 
さらなる展開に期待します。
 
 

2015年3月19日木曜日

FOODEX JAPAN 2015

去る3月3日(火)~6日(金)、アジア最大級の食品飲料専門展示会であるFOODEX JAPAN 2015が幕張メッセにて開催されました。
4日間の来場者数合計は77,361人。世界中の食品が一堂に会す大展示会は、毎日大勢の出展者と来場者で大変賑わっておりました。


トルコも、例年通りエーゲ海輸出機構(EIB)がオーガナイザーを務め、トルコ・パビリオンとして昨年の33社を上回り35社が出展しました。

出展内容は、ベーキングミックス、飲料、加工保存野菜及び果物、ピクルス、製菓、菓子及びスナック類、ドライフルーツ、ドライナッツ、冷凍野菜及び果実、ジャム、蜂蜜、オリーブオイル、その他植物性オイル、パスタ製品、鶏肉製品、豆及び脂肪種子、調理済食品、ソース及び調味料類、スパイス及びハーブ類、ドライトマト、有機農産物、ハラル食品、コーシャ食品など。

中でも群を抜いて多いのは、やはりパスタ・マカロニに代表される小麦関連食品で、全体の1/3程度を占めていました。

実際に来場されたお客様からも、「トルコはパスタ類が多いけど、小麦がたくさんとれるの?」と聞かれたりもしました。

はい、トルコは小麦生産大国です。

アメリカ農務省(USDA)のデータによると、2013-14年の世界の小麦生産量は約7億1400万トン、その内トルコの生産量は1800万トンで、国ベースでは第9位(1:中国、2:インド、3:アメリカ、4:ロシア、5:カナダ、6:オーストラリア、7:パキスタン、8:ウクライナ、9:トルコ ※ランキングにEUを入れるとトルコは10位になりますが、国別で分けると上記の通りです)。(トルコの製粉業者の業界誌『MILLER Magazine』より)

そして日本のパスタ輸入市場を見てみますと、2013年はトルコからの輸入量が16495トン(構成比12.3%)で、イタリア、アメリカに次いで第三位(横浜税関資料)。トルコにとって、日本の市場は非常に大きく魅力的なようです。

トルコパビリオンでパスタ類の次に多く見られたのが、食用油。ひまわり油やヘーゼルナッツオイルなどもありますが、なんといっても数も種類も多く打ち出されているのはエーゲ海および地中海岸で取れるオリーブオイル。イタリア、スペインといった競合を前に、トルコ産オリーブオイルが日本の市場でどう位置付けられていくのか、今後の展開が気になります。
(トルコ産オリーブオイルについては、過去記事参照ください。)

また、ドライフィグやドライアプリコットといったドライフルーツもトルコからの輸入品が増えており、今回のFOODEXにも3社(団体)が出展していました。

他、目新しいところでは、鶏肉・鶏卵プロモーション組合、シーフード、エナジードリンクなどが目につきました。

私たちの生活のすぐ傍に増えてきているトルコ産品。新たな分野の開拓も楽しみです。

2015年3月2日月曜日

武田薬品がトルコの製薬大手企業を買収

2月24日付で、武田薬品の100%子会社である武田GmbH(所在地:ドイツ/コンスタンツ)が、トルコの大手製薬会社Neutecの子会社Toplam Kalite(トプラム カリテ)を145億円で買収したことを発表しました。

この買収を通じ、消化器系・呼吸器系・代謝系・筋骨格系疾患領域における13製品からなるNeutec社のポートフォリオを獲得する契約を締結。トルコ国内の製薬企業上位20社以内を目指します。武田 GmbHは2015年度第1四半期中に買収を完了する見込みとのことです。


武田薬品の中近東・アフリカ地域のヘッドであるDanilo Cassaniは、

「当社は、本買収を通じ、東欧・中東におけるキーとなる最大の医薬品市場であり今後5年間で年約6%の成長が見込めるトルコ市場における取り組みを継続的に推進してまいります」

と述べています。

Neutec社のCEOであるMahmut Bilgiçは、

「武田薬品のようなベスト・イン・クラスのグローバル企業と本契約を締結したことを誇らしく思います。本契約は、当社と多国籍企業との最大のパートナーシップの1つです。これにより、当社の主要製品の市場におけるポジションを強化するとともに、さらなる患者さんのニーズに応えるための研究開発活動を強化してまいります」

と述べています。

武田薬品はこの五年間、武田GmbHの子会社である武田 İlaç Sağlık Sanayi Ticaret Limited Şirketi(武田トルコ社)を通してトルコでの事業を行ってきましたが、本買収により、中近東・アフリカ地域の最大市場で今後成長が見込まれるトルコへの投資をより強化するものとしています。

※参考※
武田薬品ニュースリリース
薬事日報