2015年10月28日水曜日

トルコ在外投票乱闘騒ぎの後始末

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

11月1日に予定されているトルコの総選挙に向けて、トルコ国内は非常に緊張した状態が続いている。

6月7日の総選挙のやり直し選挙となるのだが、予想としては、前回同様の結果となるか、与党AKP(公正発展党)が僅差で過半数を獲得し現政権に居座るか、全く読めない状況である。
もし過半数割れした場合には最大野党のCHP(共和人民党)と、今勢力を急激に伸ばしているクルド系政党HDPが連立を組む可能性もあるし、CHPとMHP(民族主義者行動党)の連立をHDPがバックアップするという可能性も。さらに新たなリーダーとして前大統領アブドュッラー・ギュル氏や前副首相アリ・ババジャン氏の名前も巷ではささやかれている。
先日のアンカラにおける自爆テロ事件に端を発し、現与党に対する不満やそれに反発する保守派の対立は全土に広がっており、民族的な対立が表面化するなど混迷を極めている。

まさかその緊張が日本にまで飛び火してくるとは誰も想定していなかったが、10月25日の日曜日、在外投票のためトルコ大使館前に集まったトルコ人とクルド人の間で乱闘騒ぎが発生し、止めに入った警察官を含む9人が重軽傷を負った、というニュースが報じられた。

このセンセーショナルなニュースには報道各局が飛びつき、トルコの内政事情について日本人の関心が向けられることになった。トルコの現在の情勢に不安を覚えた人も多いかもしれない。

しかし一方で、次のような後日談をライブドアニュースがひっそりと伝えてくれている。
http://news.livedoor.com/article/detail/10752037/
『騒ぎの後でゴミ拾いをするトルコ人たち』

以下一部抜粋。↓↓↓
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午後になって騒動が収束した後も機動隊が大使館の前に集まり、物々しい警備が続いていたが、その間を縫うようにして数人のトルコ人が大きなゴミ袋を手にあちこちを歩き回っていた。見ると、乱闘の際に相手に投げ付けて散乱したペットボトルや缶などを、一つ一つ手で拾い集めていた。
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ブラジルのワールドカップで、日本×コートジボワール戦の後に日本人のサポーターがスタンドのゴミ集めをしたことが世界的に報じられたが、それに類する美談ではないか、と思う。

トルコ人のメンタリティーには『恥(AYIP:アユップ)』という概念が非常に根強くある。
誇り高い国民性は、この『恥』を恐れるところに起因する、というのも過言ではないように思われる。
そういう意味でも、日本人として共感を覚えずにはいられない。

残念なニュースばかりでなく、こういった部分も多く日本のメディアに伝えてもらいたいものと思う。

それにしても、日本の在外選挙にはこれほどの人が日本大使館の前に集まるものだろうか。
トルコ人の政治参加への意識の高さには本当に敬服してしまう。

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2015年10月19日月曜日

トルコの国民食ブルグル、大阪アジアフードショーにてご紹介

10月21日~23日にインテックス大阪にて開催される『アジア・フードショー2015』(『ファベックス関西』、『関西デザート・スイーツ&ドリンク展』と併催)にて、トルコの国民食である【ブルグル(Bulgur)】をご紹介します。

場所:インテックス大阪6号館 AF-55


【ブルグル】とは、全粒のまま蒸したデュラム小麦を挽き割りにしたもので、サラダなどに用いられる細引きタイプと、ピラフ向きの丸粒タイプがあります。
外皮や胚芽を含むため食物繊維も多く、ミネラルも豊富。ダイエットにもお勧めのこの食材は、トルコのアナトリア地方で伝統的に食されてきました。

トルコのWikipediaによれば、ブルグルは米やクスクスよりも栄養価が高いとのことです。

以下、その特性をWikipediaより転載・翻訳します。

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・ブルグルは、血中の脂肪を低下させることが知られている食物繊維を非常に多く含む食品である。

・炭水化物が多く、タンパク質は少ない。

・ブルグルに含まれるビタミンB1は、神経と消化器系に重要な働きをする。

・葉酸を含むため、子どもや妊婦にとって非常に重要な食材である。
 
・不飽和脂肪を含み、全体の脂肪分が少ないため健康的な栄養食材である。

・コレステロールを含まない。

・穀物の最大のディスアドバンテージであるフィチン酸は、ブルグルにおいては蒸らしと乾燥の加工ゆえに含まれない。

・高濃度のミネラルとセルロースにより、栄養素の吸収を早め、便秘を防ぎ腸ガンを予防する。

・マメ科植物と混ぜると、世界で最も重要な栄養源となる。

・放射線を吸収せず、放射線に対して耐性がある。そのため、核戦争に備えて軍・市民用に備蓄としている国もある。

・蒸らし加工を通して、粒の胚芽部に含まれる栄養素が粒の中に浸透するため、栄養価は他の小麦製品(パンやパスタなど)よりも高い。

・蒸らし・乾燥加工により、カビの発生を抑え、賞味期限は他の製品よりも長い。

ブルグルの効能:
非常に高い割合で繊維を含むため、ブルグルは腸の働きの面で重要な食品。繊維には満腹感をもたらす特性もあるため、体重コントロールの面でも活用できる食材である。WHOによると、一日当たり25-30g程度の繊維を取る必要があるとのこと。

ブルグル構成要素におけるビタミンB1:
神経及び消化器系の強化において大きな役割を果たす。また、このビタミンは、脚気の予防のために日常的に摂取する必要がある。ブルグルは、これら全ての他にも、成分に含まれる葉酸ゆえに妊婦の胎内の胎児の知能レベル向上にも必要である。

ブルグルはグリセミック指数が低いため、満腹感を持続させ、血中への吸収が緩やかでダイエットにも使える製品である。また、糖尿病患者へもおすすめ。サラダや温・冷ともに料理に使える食材であるため、幅広い活用ができる食品である。

https://tr.wikipedia.org/wiki/Bulgur

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奇跡のような栄養食品ですね。
さまざまな形で日常的に取り入れてみたい夢の食材です。

アジア・フードショーで、ぜひその味と食感をお試しください。

2015年10月17日土曜日

欧州に押し寄せる難民 トルコが頼みの綱となるか。

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シリア難民をトルコは200万人以上受け入れている。筆者は8月、トルコ・アンタルヤの空港に早朝に向かった際、無数のシリア難民らが公園や広場のいたるところに折り重なるように横たわっている光景に出くわした。異様であった。タクシーの運転手が「シリアからだよ」と冷たく言い放っていたのが印象的であった。トルコの難民受け入れ能力はすでに限界と見られている。トルコをスルーして欧州へ流れ込む難民がさらに増える見込みである。

すでに10月末までに約71万人の難民がEUへ押し寄せている。先ほどのアンタルヤでの筆者の経験が物語るように最も多いのがトルコ経由で欧州入りを目指すシリア人難民。トルコ大統領・エルドアン氏の強権政治に対する否定的なEUではあるが、トルコの協力なしに難民危機の解決の糸口は掴めないとの見方が一般的となっている。

欧州委によると、トルコはEUに協力の見返りとして次の三つを求めているが、ビザ免除はすでに合意済みとなっている。
(1)10億ユーロではなく30億ユーロ(約4000億円)の追加資金支援
(2)EU域内への旅行のビザ免除
(3)EU加盟交渉の再開

今後、トルコはEU資金でトルコ国内に難民受け入れ施設の新設を進める。難民の就労容認、国境管理や不法移民の本国への送還の強化などが課題となる。
エルドアン政権は11月の総選挙を控へ、EUから最大限の支援を引き出すことは同政権にとって最大の加点となる。一方、EU側はトルコが約束通りの協力を遂行するかどうか100%信じ難いところもあり、両者の思惑が入り乱れているというのが現状ではないだろうか?


記事報道によると、EUのトゥスク大統領は「トルコとの合意は難民の流入が効果的に抑えられない限り、意味をなさない」としている。トルコが要求する10億ユーロではなく30億ユーロの資金支援の拡大やEU加盟交渉の再開は、トルコ側の協力の進展を見極めながら進めていく意向である。ドイツ・メルケル首相は1018日にトルコを訪問し、協力強化を探る構えである。

シリア国内には今なお400万人の難民がいると推計されている。

                〜 世界に衝撃を与えた難民の悲劇 〜


PHOTO: 上段左からEL PAIS、TROUW、THE GUARDIAN、下段左からLA STAMPA、DE MORGEN、THE TIMES

上記報道はすでにご存知の読者も多いと思う。9月4日のこのブログでも取りあげている。内戦で混乱を極めるシリアから家族と一緒に逃れてきた3歳の男の子がトルコの海岸に打上げられた遺体の画像は世界中に衝撃を与えた。長さ15フィート、僅か4.5メートルのボートはトルコのビーチリゾート、ボドルムからギリシャのコス島を目指していた。転覆事故でボートに乗っていた12人が死亡。世界中のメディアが溺死した男児の画像を様々なかたちで報じた。難民の救済に消極的だとして先進国に怒りの矛さきが向かっている。

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2015年10月15日木曜日

トルコに潜むISの影

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10月10日にトルコの首都アンカラを襲った最悪のテロ事件は、既に99人の死亡が確認されている。当局は、犯行を行った組織としてISにほぼ焦点を定めて捜査を進めている。二名の容疑者が既に特定されているが、二人ともがISに傾倒したトルコ人の若者であることが公表されている。

7月に起こったトルコ南東部のスルチでの自爆テロでその名が知れ渡った『ドクマジュラル・グループ』という組織が、今回の事件でも捜査線上に上がっており、二名の容疑者はいずれもその組織との関連が指摘されている。

『ドクマジュラル・グループ』とは、2013年からトルコ南東部アドゥヤマン県の片田舎で発足した、シリアのISに戦闘員を送り込む組織。その後県の中心部でも活動するようになり、『イスラム・チャイ・オジャウ』というチャイ・ショップを拠点に若者たちを洗脳し、ISの「聖戦」に駆り立て、シリアに送り込むようになる。そのほとんどがアドゥヤマン出身者で、構成員は60名ほどと考えられている。
子どもたちを奪われた被害家族たちの訴えにより、『イスラム・チャイ・オジャウ』は当局の家宅捜索を二回受け、既にこの店は閉鎖されている。

公安及び諜報局が全国の警察に配布した、自爆テロ実行犯(可能性)として手配中の21名のリストの内、16名がアドゥヤマン県出身かつ『ドクマジュラル・グループ』のメンバーであることが分かっている。ちなみに、今回の事件の容疑者とされている二名とも、この二つの条件を満たしている。

アドゥヤマンからISに参加した人数は200人に上ると言われている。シリアに入国したメンバーはISの首都とされるラッカで爆弾と武器の訓練を受け、現地のクルド人部隊YPGとの戦闘に及び、その後シリア内のIS支配地域やトルコ国内に拡散した。

もともと、ISはトルコに対し、連合軍に基地を開放したことで数多くのムスリム同胞の死を招いた、またトルコ人のシリアへの入国を妨害するために国境の制限を強化し、ISに対する軍事行動も行ったとして、トルコをターゲットとすると脅迫していた。
また、ISがトルコ国内で活動する別の理由として、ISがシリア北部のコバニやテルアビヤドでクルド人部隊に敗北したことがあげられる。『ドクマジュラル・グループ』の指導者はクルド人部隊YPGの捕虜となったと考えられており、クルド人への報復のために、トルコ国内でクルド系政党HDP及び彼らの支持者を血祭りにあげようとしている、という見方もある。

『ドクマジュラル・グループ』に名を連ねている若者たちの近親者たちは、突然行方をくらました息子を探してシリアへ渡ったり、どうしても連れ戻すことができないと分かるや警察に相談するなど、わが子の変貌に戸惑いを隠せずにいる。
この状況は、日本を揺るがしたカルト集団『オウム真理教』の事件などを彷彿とさせる。

『ドクマジュラル・グループ』の拠点となったアドゥヤマンは、古代から人類の文明の栄えた地として知られるが、現在はトルコの中でも開発の遅れた貧しい地域の一つである。住人の多くが保守的で信仰心の篤いムスリムであり、宗教は彼らの生活の支えとなっている。トルコ人、クルド人、トルクメン人、アレヴィー派、スンニ派など、様々な人々が一緒に暮らしている。

ISに傾倒するのは、そのほとんどが洗脳のターゲットとなりやすい若者である。
また地域の貧困や職不足も要因のひとつとして考えられるのかもしれない。社会に対する不満は、洗脳の際の重要な鍵となるのではないか。
アドゥヤマンの住人は、地元がISと自爆テロに結び付いた形でその名が広まっている現状を嘆いている。


~情報元~
http://www.haberturk.com/gundem/haber/1140215-21-isidlinin-ortak-noktasi-dokumaci-ve-adiyamanli-olmalari

http://www.internethaber.com/dokumacilar-grubu-nedir-liderleri-kimdir-1478571h.htm

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気になるトルコの動向

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トルコに関する記事がここ最近連続して取りあげられている。もちろん、いい内容であればいいのだが、そうでもない。11月1日に総選挙を控えるトルコを不安の雲が覆いつつある。

10日に首都アンカラで自爆テロがあった。死者は恐らく今後100人を超えると見られ、負傷者の数は400人以上。トルコ史上、最悪のテロとも報道されている。総選挙(一院制の議会選)が11月1日にトルコでは予定され、6月のときに過半数割れとなった公正発展党の回復を目指し、エルドアン大統領が選挙のやり直しを行うわけだが、10日に起きたテロは政府とPKKの抗議集会の近くで起こり、その後、トルコ政府の治安対策の不備への抗議デモがあり、トルコ国内の分断が進んでいるように見える。


結果として、トルコ政府はテロの報道が政府批判に繋がることを回避するため、自爆テロの捜査内容は公表せずとの情報統制を強化し、情報管理に神経を尖らせている。
FBやツイッターなどのSNSが一時つながりにくくなったとの報道もあった。



世界経済フォーラムによると、トルコへの海外直接投資(FDI)が、政治的・地政学的な対立や高水準のインフレによる不透明感と金融部門の信用の若干の低下などが原因でトルコ経済は低迷しているとの指摘をしている。実際はどうなのだろう?

先週は、エルドアン大統領が来日し、帝国ホテルでの投資セミナーでは「約35億ドルの日ト間の貿易額は、期待値をはるかに下回った数字である。日本の外国投資の1%、つまり10億ドルが日本からトルコになされるべきである。グローバル金融危機の後、トルコ経済は力強く持ち直した。その強靱な耐久力と公共財政における確固たるスタンスが、トルコの投資環境をより魅力的なものにしている」とアピールしていた。
今後の動向に注目したい。
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2015年10月5日月曜日

トルコのTrakya ご存知ですか?

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さて、トルコのTrakyaをご存知でしょうか?
カナ表記ではトラキアと呼ぶ。現在、3カ国に分断されている。トラキアはバルカン半島の南東部の歴史的地名である。西トラキアがブルガリアの南東部とギリシャ北東部の一部に、東トラキアがトルコのヨーロッパ部分となっている。

筆者の知り合いの中に、遺跡発掘調査のために毎年トルコに通っている人がいるが、ブルガリア領内で黄金文明と呼ぶべき精巧な金細工が大量に発見されているのはよく知られるところだ。トラキアは東は黒海、南はマルマラ海とエーゲ海によって画されている。イスタンブールから40分ぐらいの距離に位置する。

今回、日本からの投資促進を目的にトラキアの投資開発庁の担当者が日本を訪ね、セミナーを開催した。今回初のこころみだ。



トラキアを含むトルコの優位性に触れておく。
「GDP25兆ドル+15億人」のアクセスの中心に位置する国ということになる。

ヨーロッパ:GDP 19.9兆ドル、総人口6.68億人、
中東・北アフリカ:GDP3.3兆ドル、総人口6.47億人
ロシア連邦:GDP1.8兆ドル、総人口1.42億人
中央アジア・コーカサス:GDP3,500億ドル、総人口8,200万人

トラキアの最大のメリットの一つはイスタンブールから近いということ。何かと便利に加え治安の面でも安心な地域である。投資インセンティブについてはホームページを下記に紹介しておくのでトラキアの魅力について詳しく見ていただきたい。
http://eng.trakyaka.org.tr

トラキアはトルコ相撲、つまりオイルレスリングで有名なところでもある。650年を超える歴史を持つ伝統的な格闘技である。サライチ地区で毎年6月の最終週から7月初旬にかけて開催される。文化イベントが1週間ほどかけて開催され、民族ショーや展示会、ビューティコンテスト、郷土料理コンテスト、そして祭りの最後の三日間でヤール・ギュレシが
開催される。2010年にユネスコの世界無形遺産にも登録されている。

こういった文化的歴史的側面からトルコへの理解を深めることがトルコを知る近道かもしれない。こういったタイミングでトルコを訪ねられ、企業訪問や関係先との打合せを重ねることをお勧めする。トルコの実情と魅力は企業訪問を繰り返すだけではなかなか見えてこない気がする。

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